令和3年は西暦では2021年。日本の暦では皇紀2681年となります。それでは干支を見てみましょう。
昨年は「子(ね)歳」でした。
子は種子(たね)というお話をしました。
新型コロナの影響で生活様式も急激に変化しました。
そのような一年で皆さんが撒いた種子に、いつもと同じ「水・土・光」を与えた人、じっと耐えて動かなかった人、また、状況に応じて「土・水・光」を変えた人。
いずれにしてもピンチをチャンスに変えた人が大勢いらっしゃったことと推察することできます。
そして、今年は「丑(うし)歳」です。
動物では「牛」が当てられ時刻は午前2時頃です。
「丑」そのものでは意味を持ちませんが、糸偏を付けると「紐」という字になります。
子歳に撒かれた種子から「紐」、これは『根』のことを意味します。
植物でいう『根』の役目は、土の中の栄養を吸収し幹に力を与えたり、本体の芯を支える重要な仕事があります。
つまり、『根』は、支える力として働くのです。
『根』は土の中にあって目に触れることはなかなかありませんが、地道に基礎を固め『根』同志が支え合いながら芯を成長させていくのです。
「丑歳」が教えてくれるものを、皆さん自身や社会に当てはめてみると色々なことが見えてきます。
そのひとつに・・・たとえすぐに見える結果が出せなくとも、地道に努力すれば必ず後に大きな実を得ることに繋がるのです。
また、苦労を惜しまず回りのためを思いながら進み行く人には、多くの人の支えがあり後押しがあることに「感謝」を覚えることになることでしょう。
家であれば家長を家族という『根』が支え、会社であれば社長を従業員という『根』が支え合わなければなりません。
そして、「芯」は支えられていることに常々「感謝」がなくてはならないのです。
逆に、その『根』の一本でも「私は役に立っていない」とか「私がいなくなっても」という「根腐れ」を起すようなことがあれば、「芯」まで倒れてしまう結果になりかねません。
国においては、かつて福沢諭吉翁が唱えたように、
「立国は私なり、公に非ざるなり」
という言葉にあるように、一人ひとりに『根』という思いがあってこそ、豊かな潤いある強い国造りができていくのではないでしょうか。
今年は特に「支え合う」というキーワードを常に意識しながら、皆様にとってすばらしい一年であるように祈念致します。
第36世宮司 鈴木邦房