『寅』は時刻でいえば午前4時頃で、辺りは未だ暗闇の中にあります。
まさに、このコロナ禍と同様に「光」が見えそうで見えない頃ということになります。
「子」歳で種が撒かれ、「丑」歳で紐のような根が生え始めました。
そして、『寅』はまだ土の中にある状況に変わりありませんが、これまでの準備や努力を糧にいよいよ「芽」を出し「自らの力」で外の光を浴びようと「伸びゆく」ことを示します。
『寅』の文字を解説すると、「ウかんむり」が家を表し、家の中で矢を引き伸ばすという造りになります。
これは、家長が真っ直ぐに伸びる事を意味します。
「子」、「丑」と周囲からの影響を受けて成長して参りましたが、『寅』はその上で「自ら伸びようとする力」を示しているのです。
家であれば家長が、会社であれば社長が自ら先頭に立ち、自らの力でどのようにけん引していくかを考える年といえましょう。
『寅』に「サンズイ」を付けると「演」という字になります。
講演、演説、演劇等、今までの成果を元に自らの力を発揮し、大勢の人々を引っ張っていくという意味を持つのです。
また、この字自体に、「伸びる」や「広く影響を及ぼす」という意味があります。
なぜ「サンズイ」かというと、実は『虎』という漢字につける「へん」や「つくり」は、サンズイしかないのです。
一方『虎』は、千里行って千里帰るというほどの行動力があると言われています。
まさに、エネルギーとバイタリティーを持った動物と言えましょう。
以上のように『寅』も『虎』も「自らの力」がキーワードになります。
まだまだ先が見えにくい昨今の状況の中で、誰に期待するか、何に救われるかという時期は過ぎ去り、自らの思いで自らの力を使って、如何に光を浴びる事が出来るのかを考える年なのです。
自分の「力」を信じ「光」を求める強い「芽」を育てようではありませんか。
第36世宮司 鈴木邦房